広瀬川歩記109

寒いよね

まだこんなモノではないはず。そうは思っても首元から忍び込む風は冷たい。

橋の下をくぐれば、風はどこかに離れていく。

だが、今不意に生まれたさざ波が、風の行方を教えてくれる。

首を挙げて梢の先を見る。普段、無意味に中空を舞うトビが、

今日はどうしたことだろう。じっとしている。

哲学者のように遠い目をして、実はひなたぼっこ。残り陽を胸に受けている。

そんな時ばかりじゃないものな。飛び立つまでのしばし。

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もう陽は傾きかけているのに