広瀬川歩記12
その声を聞きたかったです
ジェ、ジェ、ジェと聞こえるのは自分だけだろうか。たしか「ギョシギョシ、ケケチケケチ」と啼き、「行行子」と言われるオオヨシキリ。
ヨシキリの名を始めて活字で知ったのは、確か小野十三郎の詩。もう随分昔のこと。高校生の頃、本を読め、本を読め、と言われてすっかりイヤになって、先生が勧める本とは散文のことに違いない、だったら韻文を読もうと日本の詩人を詠み漁った時代。
井の頭線高井戸の駅を下りると、目の前にあった書店。そこで初めて知った詩人。手にとって惹かれたことしか覚えていない。確か工場跡地の野原でさえずる鳥の名が出てきた。それがヨシキリ。
初めてその声を聞いたとき、これがヨシキリか、と感激したのに正しくはオオヨシキリだと知って、残念にさえ思った。それが2010年のこと。
以来、夏が来ると河原から響き渡ってきた声。なのに最近はダメ。河原が人間本位に変えられていった結果だと思う。
それが今年!5月20日過ぎから散歩中に声を聞くようになった。それも複数箇所で。
しかし、
30分以上待っていたのについにカメラに収まることもなく、声を潜めた。唯一これ。