広瀬川歩記104

生誕250年だって

ベートーベンという名前を最初に聞いたのは、いつのことだっただろう。何故かいつも「弁当箱」を連想したのは私があまりにも子供だったからかもしれない。だが音楽室の肖像画を指さす先生から、偉大な音楽家であることを教えられてからは、少しは彼が編み出す音に耳を傾けたかもしれない。

それにしても、あの肖像画は、誰しもが印象に残っているはずだ。

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音楽室といえば

 

一方、ウィーンのベートーベンはもっと若く見える。

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ウィーンのベートーベン

彼は俗物であったともいわれるが、どちらも唇に強い意志が窺われる。

 

さてそのベートーベンが今年、生誕250年ということで、色々な番組で特集されてきた。その中でNHKの「らららクラシック」で聴いた反田恭平のピアノ演奏”悲愴”は、とても面白かった。

私は、クラシックに興味があるなんて到底人様にいえるようなファンではないが、その割合に「悲愴」だけはひどく気に入って、10人のピアニストのCDを持っているほどだ。

特に第2楽章がいい。だから反田がコンサートでそれを弾くと聞いて山形まで行ったこともある。その反田がテレビではどのように聴かせるつもりなのか。

驚くというほかはなかった。演奏の間ずっと下を向いていたからどんなタッチだかは分からない。しかしまるで「お前にはどう聞こえるのだ」と問いかけているかのようなゆったりとした演奏だったのである。

10枚のCDでは、第2楽章はほぼ4分台の演奏時間であるが、このとき彼はなんと6分間をかけたのである。

彼はその前に”月光”も演奏していたが、その柔らかく繊細で軽やかな響きとは、おおよそ異なるものであった。

 

このときの視聴者が選ぶベストテンの中では3位が悲愴、4位が月光であった。ちなみに1位はもちろん”交響曲第9番・合唱付き”、第2位は交響曲第7番。第7番は自分としては「のだめ」。また”テンペスト”は10位、”熱情”は11位であった。