広瀬川歩記191

おお、これは!

つい最近、ある自治体に頼まれて中世の山城を測量した。

その時の話である。すべての測量を終えることができ、休憩している時に仲間の一人が「地図を見ていたら、この近くに枡形遺構があるみたいだ。」と言い出した。その地図というのは「赤色地図」という特殊な地図で、地表の凹凸が浮かび上がって見える。

 彼は枡形遺構だろうと推測したのであるが、私は半信半疑であった。というのは、枡形というのは城の出入り口の一種で、どこにでもあるようなものではないからだ。しかし火薬庫かもしれないし、何か別の遺構かもしれない。山城の関連遺構である可能性は否定できないので、皆で見に行くことにした。

 すると目指す地点に、まさに枡形と言える遺構があったのだ。しかもその周辺には関連遺構が存在することもわかり、総合的に見ると山城の荷揚場である可能性が高いのでではないかと推測でき た。

 まさに発見者の大手柄である。

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枡形遺構

 画面左側の高い部分は北土塁である。その土塁は撮影者の足下から画面外の右にのびて東土塁となり、さらに写真右端中央よりやや高い位置に微かに写る南土塁へと連続して枡形状に内部の平坦部(中央やや右手に見える測量機器の周辺)を囲っている。

 

 興奮冷めやらぬ翌日、私たちは早速測量を開始した。