広瀬川歩記136
里山にて
昨日、いつものように広瀬川河畔を散歩していたら、ボールが弧を描いて飛んできた。そのまま歩いていたら見事にぶつかるように。
野球をやってはいけませんとそこには書いてある。しかし休みに入って若者たちは公園でスポーツを楽しみに来はじめた。
私はボールをキャッチすることもなく立ち止まり、バッターの方を見て、次に他の仲間を一人一人見た。
幼子(おさなご)にぶつかったらどうすんじゃ!いや、子供達はとっくにこの場を追い出されている。
ぶつかりそうになったことで思い出したが、今私の鼻には鼻孔の傍に傷がある。
生まれて初めてこんなところに傷を付けた。
里山に入った話は前回書いたと思うが、私の目的はそこで江戸時代以前の人々の痕跡を見つけることだ。いわゆる藪漕ぎをして、時には蔦や竹を切り払い、遮二無二前進するのだ。だから私の家、特に洗面所では時々、枯れ草や種子あるいは蜘蛛など、様々な自然物が見つかるし、風呂に入って自分の体の思わぬところに傷がついているのを発見する。
あの日もそうだ。ふと鏡を見たら鼻孔の傍に血がついている。その辺りを押さえると痛い。どうしたんだ?
しばらく考えて分かり自分で笑ってしまったが、実は山の中で切った竹を地面に刺したらほぼ喉の高さぐらいになった。しばらく移動した後もう一度その辺りに立った時、体をかがめたら何と丁度鼻の位置に切った竹の先があり、それでけっこう痛い思いをしたのだ。
それを思い出した。死角って恐いな。
でももしかしたら竹が復讐したのかも。それじゃあ仕方がない。
復讐する権利は”自然”にあり。