広瀬川歩記36
オーバー・ザ・レインボー
たしか映画「オズの魔法使い」の中で歌われたのだと思う。オーバ・ザ・レインボー。
”Somewhere over the rainbow” で始まる曲は、虹を見るたびに思い出す。
それほど思い入れのある曲でもないのに。
昨日、南東の空に何ともはかない虹が出た。シャボン玉ほどの浮力もなく、どこからどこに向かって架けたい橋なのかも伝えられず、南東の空に現れ、たちまちのうちに消え去ってしまった。
昔、どこかで講演した時、薄謝ですと渡された封筒が驚くほど軽かったことがあったが、この虹は薄幸と言えそうなくらい僅かである。
だがここに現れる虹がいつもそうだというわけではない。
二重になって街のどこかから北東の天空に伸びていった虹もあった。もっともこれもそう長続きをしたわけではない。
しばらくするとモアンと重なり合ってしまった。
そんなのに比べると、
この虹は氏素性が確かで、主張がはっきりしている。日本酒なら本醸造の冷酒だね。
これなら”虹の彼方"に行ってみたい。夢を信じても良い。