広瀬川歩記25
走る
学校が再開するようになると、さすがに朝早くから子供たちが川公園で活動することはなくなった。
ただし、どうかすると5時台にダッシュを繰り返している(多分)学生を見ることはあるし、6時台、7時台になるとチームで活動する学生たちも多く見られるようになる。
この公園で行われる様々なスポーツの中で、最も気に入っているのは「走り」である。球技の人たちが走る姿も悪くはないが、なんといっても陸上専門だと思われる人たちの走りや練習風景には、つい呆然と見入ってしまう。
短距離が全くダメな私からすると、全速の彼らは「風」でしかない。ボルトなんか目じゃない、という気がする。
長距離は自分自身が好きである。ヘラヘラ喋りながら走って欲しくない。哲学者のようにひたすら走って欲しい。彼らがひとかたまりとなって私を追い越してゆくとき、やはり「風」を感じる。
アア、もうあんなに遠ざかってしまった。
お尻を蹴ってしまうのではないかというほど脚を上げ去って行く。
仙台では、例年3種類の大きな長距離競技が行われてきた。
「仙台国際ハーフマラソン」がその一つである。5月に行われるのが恒例であったが、今年は中止。
10月下旬に行われる「杜の都全日本大学女子駅伝」も。そしてもう一つ。
「全日本実業団対抗女子駅伝」は11月下旬である。
嬉しいことに、3レースとも仙台二高の交差点を経由するので、近づいてくるとテレビを切って、そこまで応援に出かける。
この人たちの走りは、とても美しい。川内選手などは顔を歪めているのに、脚は前しか見ていないようだ。
短距離にはあこがれ、長距離には別のあこがれを抱きながら観戦する私には、どこか原始的な、素朴な、血が騒ぐらしい。