広瀬川歩記139
営巣中
宮城県には川崎というところがある。
30年前に宮城に移住した頃は、その字を見る度に川崎市じゃない、宮城では川崎町なのだ、と自分に言い聞かせていた。
その川崎に今縁を持たせて戴いている。城跡の調査にかり出されたのだ。そして今日行った荻ノ館なる中世山城。
国有林内ということで熊やイノシシ対策上3人の職員さんが同行してくれた。結果は遺構なし。ここの文化財指定は解除すべきだろう。
というわけで同行者には申し訳ないことをしたが、宮城県はここに遺跡範囲まで示している。
しかし山城の麓の電柱にはコウノトリが巣をかけており、それを見ることができたのだ。
元気にヒナをかえし、そのヒナが大きくなればいいな。
広瀬川歩記138
生きとし生けるもの、大忙し
澱橋の河川緑地公園では、中学生と思われる男の子と女の子が、高校生、大学生のお兄さん、お姉さん、そして暇をもてあましている私の見ている中、手を繋いで河原へと向かっていった。
ウーン、ワシの時代はそんなじゃなかった。今でも妹に「私を出しに使って好きな女の子の家に行った。」と非難される。誰がお前なんか連れて行きたかったものか!
死んだ母が、どうしても女の子と遊びたいなら、妹を連れて行け!と厳命したからに他ならないのじゃ。
アッ!今そんな話をしようと思って書き始めてんじゃなかった。
川沿いの雑木林で、久々に見かけたモズが巣材運びをせっせとしているのを見かけたからその報告。
そういえば、県内某所ではコウノトリが電柱の上に営巣。車の中からは、親鳥の白い羽が見えた。あいにく、そこはある城跡の入口だから、驚かさないように遠回りしてその山城に入らなくては。
広瀬川歩記136
里山にて
昨日、いつものように広瀬川河畔を散歩していたら、ボールが弧を描いて飛んできた。そのまま歩いていたら見事にぶつかるように。
野球をやってはいけませんとそこには書いてある。しかし休みに入って若者たちは公園でスポーツを楽しみに来はじめた。
私はボールをキャッチすることもなく立ち止まり、バッターの方を見て、次に他の仲間を一人一人見た。
幼子(おさなご)にぶつかったらどうすんじゃ!いや、子供達はとっくにこの場を追い出されている。
ぶつかりそうになったことで思い出したが、今私の鼻には鼻孔の傍に傷がある。
生まれて初めてこんなところに傷を付けた。
里山に入った話は前回書いたと思うが、私の目的はそこで江戸時代以前の人々の痕跡を見つけることだ。いわゆる藪漕ぎをして、時には蔦や竹を切り払い、遮二無二前進するのだ。だから私の家、特に洗面所では時々、枯れ草や種子あるいは蜘蛛など、様々な自然物が見つかるし、風呂に入って自分の体の思わぬところに傷がついているのを発見する。
あの日もそうだ。ふと鏡を見たら鼻孔の傍に血がついている。その辺りを押さえると痛い。どうしたんだ?
しばらく考えて分かり自分で笑ってしまったが、実は山の中で切った竹を地面に刺したらほぼ喉の高さぐらいになった。しばらく移動した後もう一度その辺りに立った時、体をかがめたら何と丁度鼻の位置に切った竹の先があり、それでけっこう痛い思いをしたのだ。
それを思い出した。死角って恐いな。
でももしかしたら竹が復讐したのかも。それじゃあ仕方がない。
復讐する権利は”自然”にあり。
広瀬川歩記134
落とし物の謎
3月だ!
何となくウキウキ気分で川辺を歩いていた。昨日、色々な小鳥を見かけたので、今日は2匹目の”小鳥”ねらい。
すぐにコゲラ。コゲラとくればシジュウカラ、エナガは見つかるだろうと待機していたら、いたいた。向こうで飛び交うのはそのどちらかに違いない。
だが、近づいていった私は思わぬ物に気をとられ、小鳥を逃してしまう。
それが、これ。
最初に目を引いたのは赤い箱。よく見ると傍に靴が。
自殺か?
ところが、それだけじゃない。小銭入れ、財布、ポリ袋・・・エッ、サイフ?
サイフの中を点検。メモのようなものだけ。盗難か?
あたりに人はいない。気持ちが悪い。
家に戻ってわざわざ交番に電話したら、ほっといてもいいですだって。
そうかなあ・・・